相続開始後に、ご相談をいただいたお客様からの言葉です。
「遺言書さえあったら、こ んな苦労しなくて済んだのに。」
今さら言っても遅いとわかっていても、思わず出てしまう切実な声です。
私も日頃からセミナーや相談会等で、遺言書の普及には力を注いでいますが、一方で遺 言書はなく起きてしまう相続案件のサポートを行うことも重要な仕事であり、実際にご依頼頂いている案件は、後者の方がまだまだ圧倒的に多いというのが現状です。 (近年は遺言書作成の割合も少しずつ増えてきてはいますが・・)
だからこそ、何度も聞くわけです。冒頭のような切実な声を。
実例を書きます。
お亡くなりになられた方には子供さんはおらず、兄弟姉妹が相続人です。
兄弟姉妹は十数人おられて その中のかなりの方が既に亡くなられていました。
結果、代襲相続により甥姪が相続人となることで、二十数名まで膨れあがり、居住地も 広範囲に散らばっています。
お亡くなりになられた方は兄弟姉妹のうちのお一人が、長年に渡り献身的に介護に当た ってこられました。
他の方々とは、ほぼ疎遠状態であり、当然、その方が全てを相続す べきであり、被相続人本人もそれを望んでいたようです。
しかし現実には、そうしよう にも相続人を確定するだけでも大変な作業となり、膨大な数の戸籍や附票等の書類を追 っていく必要があります。
もし行方のわからない方がいたら・・。
当然、全員の合意が なければ手続きはできません。
更にいうと、相続人確定後も全員が合意をしてくれる保証などどこにもありませんが、 一件一件全ての方に事情を説明し、書類作成協力のお願いをしなければならず、まして 甥姪になると疎遠状態が長いというのも珍しいことではないでしょう。
この実例では、幸いなことに、かなりの時間を要し、何とか手続き完了までたどり着き ましたが、そううまくいくばかりとは限りません。
公正証書遺言さえあれば、前述のような必要は一切なく、何の問題もなく、直ちに手続 きに入れます。(兄弟姉妹には遺留分もありません。)
これはもう、天と地の差と言っていいでしょう。
このように、もう絶対に遺言書が必要な方がいるのです。
「遺言書さえあったら・・。」
大切な方がこう思うことのないように、ご自分は大丈夫か、 ぜひ先送りせずに考えてみてください。