土地を分筆して相続するケース

相続時に、一筆の土地を分筆して複数の相続人がそれぞれ単有取得したいというケースもあります。例えば、親の自宅敷地内に子供が家を建てていることはよくあることですね。親の自宅には長男家族が同居しており、同敷地内に次男家族の家があるというような場合です。このような状況が続くのであれば、分筆をしてそれぞれの敷地をそれぞれが単有で相続するというのが理想ですね。何も考えずに、取りあえず共有なんてことにしてしまうと、後々とても面倒なことになることは目に見えていますから・・。(後から共有物分割することも可能ですが)

このような場合には、その土地について遺産分割協議による「分筆登記」を行い、相続人は分筆によって分けられた土地をそれぞれ単有で取得することができます。つまり、亡くなった親の名義のまま「分筆登記」をすることができるということです。分筆ができるのは、その土地の所有者なので相続登記をしてからというのが本来の流れになるのですが、相続人が共同して行うことで可能となるのです。そして、分筆登記が完了した段階で、それぞれが取得する分筆後の土地を直接、相続登記することができるわけです。その手順やポイントについてを簡単に記載したいと思います。

・まず、前提となるのがその土地について境界確定測量が済んでいることです。その上で分筆後の図面を作成します。これらは「分筆登記」の申請も含め、土地家屋調査士に依頼して作成することをお勧めします。

・相続人全員による遺産分割協議書を作成します。上記の分筆図面により、具体的にどの部分を誰が取得するのかを確定させます。

・土地家屋調査士が、分筆図面の付いた遺産分割協議書を添付して分筆登記申請を行い、完了後、通常通りそれぞれの相続登記申請を行います。

ざっくりと上記のような流れになりますが、可能であれば、親御さんが健在のときに行っておければ理想だと思います。親御さんの意思が明確となり争いも起こりづらいですし、多少なりとも相続税対策にもなります。また、境界確定測量は官民の立会いもあり時間がかかりますし、いやな話、境界をめぐって紛争となることもありますので親御さんの代のうちにやっておいた方がいい場合も多いのです。

最後に相続税に関する注意点として、1000㎡を超える宅地の場合、「地積規模の大きな宅地の評価」が適用できる可能性があり、相続税評価額を減額できる可能性がありますが、分筆することで取得ごとの地積がそれを割ってしまうと適用することができなくなりますので、注意が必要なところです。以上、参考として頂ければ幸いです。

 

 

投稿者プロフィール

宮地伸和
宮地伸和
高崎相続・遺言あんしん相談室代表 

平成22年1月 宅地建物取引業 独立開業
平成25年4月 行政書士登録・開業後、同年10月に「高崎相続・遺言あんしん相談室」開設

行政書士(群馬県行政書士会所属 第13140556号)
宅地建物取引士(群馬)第010777号
法務研修館認定 相続法務指導員
(一社)家族信託普及協会認定 家族信託専門士
(一社)全国空き家相談士協会認定 空き家相談士

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