相統税豆知識

相続税申告

まだ記憶に新しい方もいらっしゃると思いますが、2015年に相続税法が大きく改正されました。

このときの改正で最も注目されたのが基礎控除額の引き下げや税率のアップ であり、実質的な大増税となったことでした。 

そのような中で、影にかくれた目立たない改正も同時に行われています。 

以下が当時の改正点です。 

1,基礎控除額の引き下げ

2,税率構造の変更

3,小規模宅地の特例の限度面積拡大

4,未成年者と障がい者の控除額の引き上げ 

前述のように1,2,ばかりが注目され、大増税というイメージが強く、確かにその通りな のですが、3、4については逆に減税につながるしくみとなっています。 

原則的には増税を行うが、ただ増税するだけではなく、救済が必要なところにはきちんと配慮をしていますよ、ということなのでしょう。 

その中で、今回は4、未成年者と障がい者の控除額の引き上げについて簡単に記載したいと思います。

相続人の中に、未成年者や障がい者の方がおられることは決して珍しいことではありません。

実際に、私も提携税理士と共に何度も携わらせていただいておりま す。

だからこそ感じることなのですが、目立たない改正ではありますが、大切なことでとてもいい改正だと思っております。

改正内容はシンプルで以下のようになります。 

※未成年者控除 

改正前 20歳までの1年につき6万円 

改正後 20歳までの1年につき10万円 

※障がい者控除 

改正前 85歳までの1年につき6万円(特別障がい者 12万円) 

改正後 85歳までの1年につき10万円(特別障がい者20万円) 

これらの控除は、相続人ごとに算出された相続税額から上記の金額を控除できるもので、 それが最終的な納付額となるわけです。 

例えば障がい者控除の場合、相続人に身体障がい者等級表による級別が1級 (特別障が い者に該当)で45歳の方がいたとして、その方の算出された相続税額が300万円だったとします。

そうした場合、改正後の現在では、85歳になるまでの40年分×20万円 で、800万円という大きな金額を控除できることになり、その方の納付額は0となるわけです。

更に控除しきれない部分(300万円-800万円=500万円)については他の扶 養義務者の相続人から控除することも可能となるので、かなり助かる制度だと言えます。 

もちろん限られた方しか使えないものですが、知っておくと役に立つこともあるかもしれません。

投稿者プロフィール

宮地伸和
宮地伸和
高崎相続・遺言あんしん相談室代表 

平成22年1月 宅地建物取引業 独立開業
平成25年4月 行政書士登録・開業後、同年10月に「高崎相続・遺言あんしん相談室」開設

行政書士(群馬県行政書士会所属 第13140556号)
宅地建物取引士(群馬)第010777号
法務研修館認定 相続法務指導員
(一社)家族信託普及協会認定 家族信託専門士
(一社)全国空き家相談士協会認定 空き家相談士