事前準備・対策はもちろん、話題にも上らないまま相続が起きてしまい、相続人がその 遺産である不動産について、まったく把握できていない状況を見ることがあります。
畑や山林があることは知っているけど場所は見たことがない、当然その土地がどんな状 況下にあるのかわからない・・。
特に相続人となる方が長く遠方に住まわれている場合などには起こりやすいことです。
実例を書きます。
やはり遠方に住まわれている相続人様から、相続した土地を売却した いとの依頼を受け、指定された場所へ現地調査に行ってみたところ、登記簿や公図等と 合致せず、実際にはその方の思っていた場所とはまったく違う所に対象地があったというようなことがありました。
ご本人の思い込みだったわけです。
ここまでは別にどうという事でもないのですが、調査を進めていくとその対象地は「無接道地」であることが判明します。
一見するとそうは見えないのですが・・。
建物を建てる敷地は、建築基準法で認められた道路に 2m 以上接していなければなりません。
このままの状態では建物が建てられない土地ということになり、希望通りに売却することが非常に難しい事態となってしまいました。
相続人様ご本人もまったく知らな かったわけです。
売却自体が非常に厳しい条件となる中で、税金は課されますし、遠方に住まわれていても近隣に迷惑がかからないよう管理も必要となります。
不動産はこのように相続人にとって逆に大きな負担となってしまう場合があります。
この事例では、接道させるため隣接地の一部購入など、生前に対策ができる場面も何度かあったようです。
しかし、調査した時点ではもう無理で、現状のままどうにかするしかない状況でした。
結論としては、幸いにして隣接地の方に購入いただきましたが(もう、それしかない状況)、別に欲しくないものをこちらからお願いをしている状況で、引き取ってもらうという感覚です。(価格も)
もし、引き取ってもらえなかったら遠方の価値もない土地を持ち続けるしかありません・・。
一番言いたいことは、無関心なままで相続を迎えてしまうと相続人が知らずに大変な負担を背負ってしまうこともあるということです。
特に不動産は境界問題も含めて、様々な問題を抱えている場合があります。事前に把握 して、対策を講じておくことの大切さがご理解いただけると思います。
必要であれば、専門家に相談することも非常に有効な手段となります。